吠える子のトレーニングの進め方

愛犬が吠えるので困っているというご相談は多いです。そのようなご相談をいただいた時、どのようにトレーニングを進めていくのかをご紹介したいと思います。(これが正しい方法というわけではありません。私はこのように進めています。出張トレーニングを検討している方の参考にしていただければ幸いです)

なぜ吠えているのかを探る

吠えると言っても理由は様々です。飼い主さんのお話を伺ったり犬の様子を見たりして、理由を探ります。メインの飼い主さん以外のご家族が原因のこともありますし、それまでの対応の不味さが原因のこともあります。犬が吠える理由は一つではないかもしれません。

環境を見直す

吠える理由や原因がわかったら、吠えるきっかけとなっているものを遠ざけることができるかどうか、刺激を弱めることができるかどうかを検討します。窓の外に向かって吠えるのなら、窓の外を見えないように工夫するなど。それだけでも、管理がずっと楽になることがあります。他のご家族に原因があるのなら、その方にもご協力いただきます。(ご家族にご理解いただけないと、このケースでうまくいかないことがあります。そのため、ご家族間の問題はあらかじめ改善していただきたく思います。)

教えるべきことを考える

どうすれば、吠えるきっかけとなっているものと出会っても吠えずにいられるかを考えます。吠える対象と出会った時に、犬にどうすればいいかを教えます。具体的には、犬が飼い主さんの顔を見る、ハンドタッチをする、座る伏せるなどのツールがあれば、対処しやすくなります。どのような行動を教えるかは、ケースバイケースです。「吠えない」を教えることはできません。吠えないということは、別の何かをしているということです。吠える以外の望ましいことができるように教えます。

練習する。

教えることが決まったら練習します。まずは、刺激の少ない環境から始め、少しずつステップアップしていきます。犬にわかりやすく細かく分けて教えることもあります。ご褒美に何を用意するかも大切な要素です。嬉しい楽しいことを得るために行動を起こせるように設定します。問題を改善するための練習をするのですが、犬はいつもハッピーでいられるようにします。問題と考えるのは人間だけです。人間は努力を強いられますが、犬にそれを押し付けるのはフェアではありません。犬が楽しく行動することが人にとって都合の良いことになるように人が努力します。

犬が成功できるように助ける。

犬が成功できるように助けることがとても大切です。吠える対象に出会って、激しく吠えてしまい、飼い主さんの声も聞こえない、食べ物も食べられない、制止しようとしても向かっていうというのでは、学習に適した状況ではありません。ゴキブリを手に乗せられているのに、難しい計算を強いられるようなものです。そうなってしまったら、まずはその状況から犬を助け出すことが最優先です。また、そうならないように、刺激の強さを常に気をつけることが大切です。

このような流れで進めます。こうしていくと、叱ったり罰を与える必要がないことがお分かりいただけますでしょうか。この道のりは、犬にとって無理なく、大きなストレスがかかることはありませんが、人間にとっては楽な道ではないかもしれません。人間の都合で家に迎えられた犬たちですから、人は努力して犬に優しい方法を学び、実践したいものです。